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聖教新聞「きのうきょう」

   聖教新聞 「きのう  きょう」 ==「読書」==     平成19年12月26日

「史料が語る坂本龍馬の妻お龍」を著した鈴木かほるさん

  ―龍馬が、唯一、愛した女性、お龍。彼女の墓は、その終焉の地・神奈川県横須賀市大津町の信樂寺にある。お龍については、正史がないため、俗説、誤謬が多く、ややもすると、長所が隠され、酒豪で勇健ばかりを印象づける創作もある。そんな彼女に同情し、同じ横須賀に住む女性として、真実の姿を知ってほしいという思いが募り、拙い筆を走らせたのが本書である。
  楢崎龍が、どういう女性であり、龍馬の死後、どんな生涯を送ったのか、その真実を探るには、関係する論文、書簡、新聞記事を片っ端から集め、彼女の回顧録と丹念に照合していくしか方法がない。
  お龍のことを調べようとすると、龍馬の研究に関連して出てくる程度であり、お龍に焦点を当てた論文は2、3の短編しかなかった。しかし、どれも細かい部分において矛盾していて、真実を見極める作業には、想像以上の時間を費やしてしまった。
  お龍は、確かに、気丈で、大酒であり、決して、温淑な女性とはいえないが、常に、総領としての意識を持ち、家族を思いやり、その役割を果たしてきた。二人の妹が身を売られるところを命がけで救い、横須賀に安住に地を求めると、大阪から老母を呼び寄せ、妹の子を引き取って再婚させ、その妹が未亡人となると引き取っている。
  今の世に、自分を犠牲としてまで、家族の面倒をみる人は、そう多くはないであろう。お侠であるがゆえに、再婚した夫と妹との仲を許し、独居の果てに逝ったのである。貧しさをモノともせず、その真実は、実にいじらしいものであった。家族の絆が希薄な現代人が学ぶべき、家族を愛するお龍の真実の姿が、そこにはあった。
  平穏な日々を過ごすことを許さない気質を持つ龍馬の活動を、精神面で支えることができたのは、お龍しかいなかった。お龍もそうであったように、お龍の輝きのそれは、龍馬しか見えなかったのである。(すずき・かほる 歴史研究家) ●新人物往来社・2940円

 

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