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『徳川家康のスペイン外交』向井将監と三浦按針』

「ありエルブログ」より

『徳川家康のスペイン外交』向井将監と三浦按針 鈴木かほる

★★★☆☆

 前掲の『さむらいウィリアム』と並行して読めば、三浦按針に対する理解がより深まる。
『さむらいウィリアム』は日本や家康の当時の情勢よりも、日本でのウィリアムの立ち位置と東インド会社の社員たちの活動に力点が置かれている。この本ではタイトルにあるように「スペインとの交易・外交」に焦点が絞られている。家康は「浦賀でのスペインとの交易」のために三浦按針を重用したと著者は主張し、按針を通したスペイン他との交渉に徳川の船奉行向井氏らの動向を交えて家康が如何に「浦賀」「スペイン」を重視していかを何度も繰り返し述べている。
資料が少ないせいか、徳川家康が諸外国とどのような交渉を行っていたかについて、総合的に取り扱った本をまだ目にしたことがない。家康は朱印船貿易も行っている上にヨーロッパとの交渉も度々していて、範囲がかなり広くなってしまうのもあるからだろう。
そんな家康の外交を、スペインと浦賀に特化した本として面白く読んだ。三浦按針が家康に起用されたのはそれだけとは言い難いと個人的には思うが、関係書が少ないだけに扱ってくれたこと自体が有り難い。
 ただ、『さむらいウィリアム』と併読して読んでいたことで気になったことが一点ある。
ウィリアム・アダムズはプロテスタントのイングランド出身で、当時日本に多くいたカトリック宣教師たちにとっては煙たい存在であった。宣教師たちはアダムズを改宗させようと努力したが、彼は全く応じなかった。そんななか、フランシスコ会修道士の一人が奇跡を起こせたら改宗するという約束をアダムズに取り付け、「水の上を歩く」という奇跡に挑戦することになった。結果は案の定失敗であったが、このときの記述に『~スペイン外交』と『さむらい~』で違う部分があるのだ。
 失敗した修道士のマドリードは、『~スペイン外交』では「泳ぎが苦手」とあったのだが、『さむらい~』では「泳ぎが得意なことで知られるこの男」とあって、真逆の表記になっているのだ。用いている資料からすると、『さむらい~』の方が正しいようだが、さて。
ともあれ、部分的ではあるが、家康の外交方針を知るには良い本である。

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